アトピー性皮膚炎ガイドライン改訂2016
2009年以来、7年ぶりにアトピー性皮膚炎の診療ガイドラインが改訂されました!
これを機にアトピー診療について&変更点をまとめたいと思います。
【定義】
「増悪寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」
【診断基準】
1. 掻痒
2. 特徴的皮疹と分布
3. 慢性・反復性経過(乳児では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上)
上記すべて満たすものを、症状の重さに関係なく診断する
その他は急性or慢性の湿疹とし、年齢や経過を参考にして診断
悪性疾患による皮疹の除外は重要にしても、
アトピーの診断はそんなに難しくないと勝手に思っています笑
周りを見て、「この人はアトピーなんだろうな」と思うことありますもんね。
たぶん『アトピーを治すこと』に皮膚科医の腕の見せ所があるはず!
【治療】
アトピー治療の3本柱は①薬物療法、②皮膚のケア、③悪化因子除去
表皮角層の水分含有量が減ってお肌がかさかさになると、本来果たしているバリア機能を失うとともに、極小の傷ができて「痒み」につながります。
だからまず②保湿外用薬を塗り続けることがとても大切(皮膚炎寛解後も続ける)。
あとは③食べ物やダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛、化粧品、金属、汗(かいた後の汗)など悪化因子をその人ごとに見極めて除去していくことが必要ですね。
①薬物療法
(1)抗炎症外用薬;aステロイド、bタクロリムス、cプロアクティブ療法(初)
(2)内服抗ヒスタミン薬;眠くならない第2世代抗ヒスタミン薬
(3)シクロスポリン;成人の重症例に対して
(5)漢方療法;消風散、補中益気湯
※プロアクティブ療法は寛解導入した後に保湿外用薬によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を定期的(2回/week)に塗布する療法。
※診療で参考にできる検査として、血清IgE値(長期的)、末梢血好酸球数・血清LDH値・TARC値(短期的)があるが、TARC/thymus and activation-regulated chemokine値が最も病勢を鋭敏に反映する指標(初)であるとされている。
※タクロリムスの発がんリスクに関しては国内外の研究から「発症リスクを高めるとはいえない」とした(初)。ただタクロリムスは顔に使いやすいものの、潰瘍面につかえないなど副作用も多く、専門医が使用するのが望ましいみたい。
とりあえず悪化要因を聞き出して除去してもらい、
ローションやクリームで保湿を徹底してもらい、
ステロイド軟膏やクリームを1日2回ぬってもらい、
補助として抗ヒスタミン薬を飲んでもらい、
これがアトピーの治療法ですね!(いやぁーまとめた笑)